網膜の中心部にあたる黄斑は、ものを見るうえで非常に重要な部分です。
加齢黄斑変性症とは、この黄斑が加齢などの理由によって変化し、「ものが歪んで見える」「視力が低下する」「中心部が暗く見える」といった症状をきたす疾患です。
初期の段階では症状が軽いためあまり気にならなかったり、片方の目が正常である場合は気づきにくいケースが多いです。
そのため、見え方の異常を自覚した頃には、症状がかなり進行している場合もありますので、早期検査・早期治療が大切です。
60代を超えると増加傾向にある高齢者に多い病気で、約20%の方は両目に発症すると言われており、片目に見え方の異常を感じ加齢黄斑変性症と診断された場合は、最善の治療を受けておくことが肝要です。
加齢黄斑変性症は、大きく分けて次の二つに分類されます。
黄斑の網膜色素上皮が栄養不足や炎症などの理由によって徐々に萎縮していき、視力低下などの症状を引き起こします。
このタイプは現在のところ主な治療法がありませんが、病状の進行は比較的緩やかなため、萎縮部分が網膜の中心窩まで広がらなければ高度視力障害になる可能性は低いと見られています。
しかし、新生血管の発生に伴い滲出型に変化することもありますので、定期的な検査に基づく経過観察が必要です。
脈絡膜から新生血管ができてくることによって、網膜が障害されるタイプの加齢黄斑変性症です。
病状の進行が速く、視力低下も重症化しやすいことが特徴です。
さらに網膜剥離などの合併症を引き起こす可能性が高く、早期治療が大切です。
脈絡膜から新生血管ができてくる原因として考えられているのが、「VEGF(血管内皮増殖因子」です。
治療は新生血管の増殖や成長を抑制する抗VEGF注射などを行い、失明のような決定的に悪い状態を防ぐことが目的です。
加齢黄斑変性症の症状である「ものが歪んで見える」変視症や、中心が暗く見えることを簡単に発見できる検査方法が「アムスラーチャート」です。
下にある碁盤のような図を、片目を必ず閉じた状態で30㎝ほど離れて、中心の点をまっすぐ見て下さい。
メガネをかけている方はそのままで結構です。
終わったら、もう片方の目で同じように図を見てください。
いかがでしょうか?
もし、次のような見え方をする場合、加齢黄斑変性症もしくは何らかの目の症状がある可能性が高いので、早めに眼科専門医を受診してください。
加齢黄斑変性症の主な治療法は、次の2つです。
硝子体内にVEGF(血管内皮増殖因子)の働きを抑制する注射を行うことで、新生血管を退縮させる治療法です。
現在、「マクジェン」「ルセンティス」「アイリーア」と3種類の保険適応可能な抗VEGF薬があり、当院では治療効果や副作用等を考慮しながら薬剤を選択しています。
静脈から注入した薬剤(光感受性物質)が新生血管に到達した際に、レーザー照射を行うことで脈絡膜新生血管を閉塞させる治療方法です。
病状によっては、抗VEGF注射とPDTを組み合わせて治療することもあります。
加齢黄斑変性症は加齢だけでなく、生活習慣との関わりも大きいと言われています。
予防法として次のものがあります。
タバコは加齢黄斑変性症になる確率を高めますので、禁煙がおすすめです。
帽子やサングラスの着用、日傘の使用など直射日光を避けましょう。
体を抗酸化させないことが加齢黄斑変性症の予防では大切なことです。
バランスの取れた食事、特に緑黄色野菜や魚中心の食事を心がけましょう。
ビタミンC不足は体の抗酸化に繋がります。
日々の食事等で難しい場合は、サプリメントの使用も考慮に入れてみましょう。
当院では高濃度ビタミンC点滴の補充サプリメント「リポ カプセルビタミンC」も取り扱っております。
当院では、抗VEGF注射(硝子体内注射)を手術日に準じて手術室で行っています。
その理由は、医学の進歩で処置室でも行えるようになったとはいえ、感染リスクがゼロとは言えないからです。
当院の手術室は大学病院と同規模のクリーンルームを完備しており、開院以来感染ゼロを継続しています。
安全性をより高めるための手段とご理解いただきますよう、よろしくお願いいたします。
また、検査にあたっては早期発見・早期治療が何よりも大切です。
当院では視力検査や眼底検査、OCTやOCTA、必要に応じて造影剤を用いたFAG検査など様々な検査を組み合わせて病態を総合的に判断し、最適の治療を行うことに努めています。
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