眼科ブログ
白内障や緑内障は早い方なら40歳台から進行が開始し、どちらも自覚症状が出るのが遅く白内障なら見えづらさ、緑内障なら視野が欠けていることに気づく頃には病状が進んでしまっている病気であることは、すでにご存じのことかと思います。
どちらの病気も年齢が進むほど有病率は高くなり、高齢の方の場合、白内障と緑内障ともにお持ちである方は珍しくありません。両疾患とも症状改善のために手術が必要となるケースも多く、どちらを先に行うのがいいのか、あるいは同時手術がいいのかは詳細な検査結果などを含め、総合的な判断が求められるところです。
以前、「緑内障治療に白内障手術を行うケースについて」というブログを書いたことがありました。「水晶体が透明になることで視野検査が行いやすくなり、他の眼病を早期発見できる」「目薬がしやすくなる」「緑内障発作リスクが軽減される」といったことが、主なメリットです。
これと並行して、最近では白内障と緑内障の同時手術を行うケースも当院では増えています。
目に関わらず、人間の体の機能は天然のものに勝るものはありません。何回もメスを入れることになると、それだけ機能は弱くなってしまいますし、また術後感染などのリスクも生じやすくなります。
白内障の程度や緑内障の病型、眼圧や視野の進行程度などをよく見極め、患者様のライフスタイルや求めておられる見え方の質などを総合的に考え、可能な場合であれば同時手術を選択するのも一つの方法だと思います。
当院では、トラベクロトミーマイクロフックという手術機器を用い、結膜・強膜を切開しない低侵襲緑内障手術「MIGS(ミグス)」に努めることで、白内障と緑内障の同時手術を実施しています。
これによる相乗効果、メリットとして主に挙げられるのは次の通りです。
1.白内障手術で水晶体を入れ替えることにより狭い隅角が改善され、緑内障発作リスクを低減することができる
2.白内障手術で水晶体が透明になることで緑内障検査、特に視野検査やOCT、OCTAがしやすくなり、他の眼病の早期発見・早期治療に繋げることができる
3.白内障手術後に基礎眼圧が下がることで、緑内障治療用の点眼薬の数を減らせる可能性がある
1と2の相乗効果はもちろん、3の緑内障治療用の点眼薬の数を減らせる可能性があることは、高齢化社会が進む中、ご自身で来院して点眼薬を受け取ることが難しくなってくる方も増えていますので、非常に大きいのではないかと思います。
実際、これまで同時手術を行った患者様も、翌日に眼圧が7ほど低下していたケースもあります。目の状況は人それぞれですので、慎重な判断が求められますが、一定の成果は出ているのではないかと感じています。
デメリットは術後感染のリスクぐらいですが、これはどの手術にも当てはまることですので、そこまで気にすることはないかと思います。当院は開院以来、術後感染ゼロを継続しておりますし、万全の衛生対策に努めております。
緑内障によって失われた視野は取り戻すことができず、緑内障手術を行う目的はこれ以上の悪化を防ぐ長期的な視力の延命効果であり、短期的な視力の向上が目的ではありませんが、早期発見・早期治療を行えば個人差はありますが他の慢性疾患と同じように、悪化を防ぐことは可能な病気です。
改善できるポイントを考えても、白内障と緑内障の同時手術を行う相乗効果は大きいのではないでしょうか。
もちろん、白内障の程度や緑内障の病型、眼圧や視野の進行程度などをよく見極め、患者様のライフスタイルや求めておられる見え方の質などを総合的に考え、同時手術が最善かどうかを判断することは言うまでもありません。
また、水晶体嚢性緑内障の場合、チン小帯脆弱を伴うために難手術となるケースがあります。
当院では、気軽に受けることができて緑内障の早期発見に役立つ自動視野計「アイモ(imo)」などの医療機器を取り揃えるとともに、万全の衛生対策の中でさまざまな内眼手術を行い、患者様の見え方の質をできるだけ維持する治療に努めております。
白内障手術無料説明会も定期的に開催しておりますので、わからないことがありましたらご相談ください。ご参考になれば幸いです。
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