眼科ブログ

近視・遠視・乱視・老眼の違いについて

人間が受け取る情報量の8割は、目から得ているとよく言われます。

特に現在は、いつでもどこでも、スマートフォンあるいはタブレットなどですぐに情報を見られる時代ですから、目から得られる情報量は以前よりもっと多いかもしれません。

そうした中、「最近目の調子がおかしい」と来院される患者様が増えています。

一口に「見えづらさ」といっても、原因はさまざまです。

今日は、近視・遠視・乱視・老眼の違いについて、少しまとめてみようと思います。

私たちが目で「もの」を認識する仕組み

目の仕組みは、カメラによく例えられます。

一番外側のレンズの役割を果たす「角膜」を通じて光線を取り込み、奥のレンズである「水晶体」で光線を屈折させます。

そして、さらに奥にあるフィルムの役割を担う「網膜」に光線を投射することで、私たちが見たものや景色は網膜に投影され、その情報が視神経を通じて大脳に入り、後頭葉で処理されて、初めて認識されるわけです。

ピント調節が上手くいかないと写真がキレイに撮れないように、ものが「ぼやけて見える」のは、目のピント調節機能に何らかの不具合が起きているからと言えます。

「ぼやけて見える」理由は、近視・遠視・乱視それぞれ異なります

角膜を通じて入ってきた光を、水晶体で屈折させ、網膜に投影することで、ものが見える仕組みはお分かりいただけたかと思います。

本来、光線が焦点を結ぶ位置は、網膜上でなければなりません。

「ぼやけて見える」理由は、網膜上できちんと焦点が合っていないことですが、そのポイントが近視・遠視・乱視それぞれ異なります。

 

まず「近視」の場合ですが、網膜上よりも手前で焦点が合っている状態ということです。

言い換えれば、近くのものにピントが合いやすい状態ということで、遠くのものにピントを合わせようとしてもうまくいかず、これが「ぼやけて見える」原因です。

 

一方「遠視」は、網膜上よりも後ろで焦点が合っている状態を指します。

遠視の場合は、網膜上よりも後ろで焦点が合っているため、近くを見る時も遠くを見る時もピント調節が必要になり、目に負担がかかりやすい状態です。

遠視と老眼の違いについては、以前のブログをご参照ください。

遠視と老眼の違い、勘違いしやすいポイントについて

 

さらに「乱視」の場合は、近視や遠視と同じく屈折異常で起こります。

角膜や水晶体のゆがみによって、ピントが1カ所に合わず、ものが二重に見える、ぶれるなどの症状が特徴です。

ほとんどの方は程度の差こそあれ、乱視を持っていますが、見え方がおかしいと感じた場合、それが乱視から来るものなのか、他の病気から来るものなのか自己判断は難しいので、早めに眼科専門医を受診することをおススメします。

老眼と近視・遠視・乱視との違い

老視という呼び方をすることもある「老眼」は、加齢とともに水晶体が硬くなったり、水晶体を支える目の筋肉が弱くなったりすることで、光線の屈折率をうまく調整できず、近くの距離にピントが合わせられなくなる状態を指します。

このことからもわかるように、近視・遠視・乱視は「屈折異常」であるのに対し、老眼は「調節異常」ということです。

若い頃は、水晶体が弾力を保っているため、言わばオートフォーカスでピントを合わせてくれましたが、その機能が加齢とともに低下していると考えると、イメージが分かりやすいかと思います。

老眼に関しては、以下のブログも併せてご参照ください。

老眼が始まる年齢、治療法について

 

同じ「ぼやけて見える」でも、近視・遠視・乱視・老眼それぞれで原因は違いますし、当然ですが治療法も異なります。

当院では、患者様の目の状態の正確な把握と、最適な治療法のご提案に努めています。ご参考になれば幸いです。

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